• 対談シリーズ

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第2回 - 2017年2月

“常に変わらぬ品質”を
全国に届けるために

ー日本デリカフーズ協同組合とベンダーサービスが共に抱く理念ー

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〈写真左〉日本デリカフーズ協同組合理事長 立石信二氏

〈写真右〉ベンダーサービス 代表取締役社長 江川 毅

複数の企業が一体となり、商品開発や原材料の選定、供給などを一括して行う「チーム・マーチャンダイジング」を、
セブン-イレブン・ジャパンとともに、日本で初めて実現した日本デリカフーズ協同組合。
現在、ベンダーサービスは日本デリカフーズ協同組合と共に、
全国のセブン-イレブンなどで販売されるデイリー品の容器開発や原材料供給を行っています。

今回は、日本デリカフーズ協同組合理事長の立石信二氏をお迎えし、ベンダーサービス代表取締役社長の江川毅が、
互いの理念や目標、これからの関係で重視すべき点などについて、お話を伺いました。(本文中敬称略)

中東からニューヨークまで、世界を駆け巡った商社マン時代

江川立石さんが日本デリカフーズ協同組合(以下、NDF)の理事長に就任されてから、今年で23年目に入られたと伺っています。元々、伊藤忠で活躍されていた商社マンの立石さんが、プリマハムの社長を経て、どのような経緯でNDFの理事長になられたのか、以前から興味深いと思っていました。

立石NDFでの仕事がこんなに長期間になるとは、自分でも思っていませんでした。伊藤忠では、最初に紙パルプを担当していたんです。それで中東を飛び回って。ベイルートには6年くらい駐在していました。

江川(1975年の内戦が勃発する)以前のベイルートは、それは素晴らしい都市だったそうですね。当時、具体的にはどのようなお仕事を?

立石ベイルートは「中東のパリ」と呼ばれていたくらいですから。大きな仕事としては、エジプトに製紙工場を作った(契約を結んだ)のと、シリアのコットンリンター(綿実)調達ですね。コットンリンターは、キュプラのような繊維の原材料になります。当時はアメリカ中心だったのを、別ルートの開拓をしたわけです。ベイルートの次はトルコで、ボスポラス海峡に橋を架けるプロジェクトに関わっていました。昭和40年代初頭のことです。

江川かなり手広くやっておられたんですね。

立石駐在スタッフも少ないから、海外では何でもやらないといけなかっただけですよ。紙パルプで行ったはずが、気がつくと機械のほうをやるようになっていて。その後機械部長としてニューヨークに赴任することになったわけです。住みやすいところで、移住してもいいなとまで思っていたんですが、2年ほどして社長から「人事部長として日本に戻ってこい」と命じられて。まさに青天の霹靂でした。

安全・安心な美味しいものを継続して提供

江川立石さんがNDFの理事長に就任されてから、今年で23年目に入られたと伺っています。これまでの経歴を踏まえて、NDF様の特徴を一言で言うとどうなりますか?

立石ううむ、難しいご質問ですね。あえて言えば、即食性の食品を作っているメーカーの集まり、ということになるでしょうか。67社の組合ですが、工場は181工場あります。1社で複数の工場をお持ちの会社がいくつもありますから。

江川役割としてはどうですか?

立石これこそ一言で言えば、安全・安心な美味しいものをお客様に提供することです。安全・安心が絶対的なテーマでして、その上で「見ておいしそう、食べておいしい、じゃまた買おうかな」というサイクルになるような商品を提供し、しかもそれを永続させることに役割を見出しています。

江川今おっしゃられた中で、「見ておいしそう」というところは、私どもベンダーサービスも深く関わっているところですよね。ベンダーサービスの設立は1989年ですが、当初は今ほどNDF様とのお付き合いは深くなかったようです。最初の頃は三井物産が容器を扱っていて、当社はNDF様の担当外だった麺類やスープなどの原料調達がメインでした。

立石設立時のNDFは、お弁当がメインでしたからね。

江川弁当と麺類では輸送の温度が違うなど、いろいろ事情があって別々だったんですよね。それを一緒にやろうということになったのが、2001年くらいですか。ベンダーサービスが容器を手がけるようになるのは、さらに進んで2003年からです。

対談の様子 対談の様子

時代の変化に対応し、最善の供給を続ける

立石今では、ベンダーサービスさんも随分と成長されましたね。

江川それもNDF様のお陰によるところが大きいと思っています。容器に関してはNDF様が中核ですが、それに加えて現在はセブンプレミアムの包材も扱っています。当社としては続々とメニューが充実していく中で、美味しさや安全を担う容器を供給し続けるのが仕事で、あくまでもメインは中身です。原材料の調達も含め、サポートの立場だと思っています。

立石ドイツの食品業界に「第一は見た目、第二は味、そして第三が値段」という格言があります。見た目が良くなければ手に取りませんから、容器やパッケージは大切です。

江川そう言っていただけると恐縮です。たとえば最近ですと、現在セブン-イレブンで販売されているパスタの容器が好例かもしれません。試行錯誤を繰り返し、何度もリニューアルを行って現在のデザインになったんですが、非常に好評をいただいておりまして。面白いのが、この茶色の容器が好評を得たことで、他のコンビニチェーンさんでも茶色の容器が一気に増えたんです。しかも、パスタだけでなく、他カテゴリーの容器もどんどん茶色くなって。

立石他社に追随されてしまったわけですね。しかし、セブン-イレブン・ジャパン様は検証をちゃんとやって開発されているから、単に追随しただけでは追いつくのは難しいでしょう。

江川セブン-イレブン・ジャパン様は、しっかり開発に力を入れてらっしゃいますからね。環境への配慮でもそうです。容器のリサイクルに対する意識も非常に高くて、現在サラダカップに使っているPETは、基本的にリサイクルされた原料が使われています。

立石規模を考えれば環境への配慮も重要な課題ですね。

江川課題といえば、原材料の供給に関しても時代の変化に対応しなければいけません。たとえばデイリーメーカー様の工場は、以前に比べ在庫スペースがどんどん小さくなっています。今では1日半分くらいのスペースしかありませんね。

立石その工夫に関しても、ベンダーサービスさんは何か考えていらっしゃるのですか。

江川原材料に関しても、いかに欠品を出さず効率よく供給していくかが我々のミッションです。工場の在庫スペースが小さくなるということは、逆に生産スペースが大きくなるということでもあります。そのバランスを考えながら、いかに効率よく回していただけるようにするか。そのサポートが我々の腕の見せ所です。直近でいえば、地区メニューが拡大していますから、品数が一気に増えていきます。我々もより一層、変化に対応していかないといけませんね。

握手写真

これからも一体となり、より良好な関係を

江川NDFの設立から40年近くなりますが、その半分以上の期間、理事長を務められてきた立石さんだけに、コンビニエンスストアや、そこで販売されているデイリー品の進化には感慨深いものがあるのではないでしょうか?

立石実は、セブン-イレブンに対しては、いつの時代も変わらない”芯”のようなものを感じています。鈴木イズムというのかな、あの理念や構想は当初からまったく変わらず一貫しています。コンビニが時代の波に乗ったという人もいるだろうけど、そうではなく、鈴木さん(鈴木敏文氏・株式会社セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)が時代の波を作ったんですよ。組織全体でブレない体制を築いたことも含め、そこが鈴木さんの凄いところでしたね。

江川それは私も実感しています。セブン&アイグループ様は、鈴木さんが退かれてからも、理念や方針がまったく変わっていないですから。日本全国、いつでもどこでも同じ品質のお弁当や総菜を届けたいという思いはセブン&アイグループ様だけでなく、NDF様もベンダーサービスも同じです。

立石昔はNDFとベンダーサービスは別々に動いていて、互いに何をやっているのか分からない部分もありました。江川社長になってから風通しがよくなり、お互いの意思疎通がとれるようになったのは、実に良いことだと思っています。おっしゃる通り、目的は1つですから。

江川我々としても、本当にNDF様とはさらに良好な間柄になりたいと思っています。そのためにも、立石さんからご指導やご注意をいただきたいと。

立石何かあれば、いつでも遠慮なく申し上げますし、それはこちらからもお願いしたいことです。オープンな関係でありながら、やはり互いに甘えるような関係になってはいけませんから。

江川まったくその通りですね。ベンダーサービスとしては、あくまでもデイリーメーカー様の目線に立ちたいという気持ちを忘れておりません。NDF様には、その点でも引き続きご指導いただければと考えています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。